膳(食)を彩る色たち
膳(食)を彩る色。大地の色がどのように食卓に並ぶのか・・・
蓬色、梅干色、飴色、抹茶色、飴色、抹茶色、鳶色、和菓子の色、香色
参考:日本の伝統色〜膳を彩る色〜(BS Japan)
蓬色(よもぎいろ)

ヨモギの葉の緑色のこと
奈良県宇陀市(薬の町)
ヨモギは血止めや虫除けとして用いられ古来では邪気を払うものとされていました
子供の頃、怪我をするとおばあちゃんが「ヨモギを揉んで傷口に当てなさい」と
言ってたことを思い出します
(草餅)
1升に100gほどの朝摘みしたヨモギを用意
ヨモギを重曹と一緒に柔らかくなるまでゆでます
冷水に何度もさらして灰汁をとると鮮やかな蓬色が出来る
蒸したもち米とヨモギを入れて杵でよくこねてからつく
餡を入れて丸めれば出来上がり
江戸時代から伝わる桃の節句、端午の節句にもヨモギは使われている
(桃の節句の菱餅)
1段目の桃色は桃の「霊力」
2段目の白は白い雪の「清浄」
3段目の緑は緑の大地の「生命力」
古くから厄除けの色と大切にされ、大地の色とされたのが蓬色
梅干色(うめぼしいろ)

赤みを帯びた梅干の色
写真の梅干のような肌色ではなくもっと鮮やかな赤色の梅干のことで
十分に灰汁を取ったシソの絞り汁と梅酢を混ぜたもので色づけされる
(クエン酸とシソの葉のアントシアンとが反応)
和歌山みなべ町は梅の里(全国40%)
(梅干葛揚)
葛で包んだ梅干を油で揚げたもの
(焼もちの梅肉ソース)
裏ごしした梅肉を焼もちにかけて食べる
梅干は食膳に豊かな彩を添えるくれる
飴色(あめいろ)

水あめの透き通るような褐色
飴色は江戸時代半ばの越後から生まれました
新潟県上越市にある高橋孫左衛門商店
江戸時代初期から続く老舗の飴屋さん
商品名:粟飴(もち米から作られる)
粟からだと濃い茶褐色になるのを4代目の当主がもち米と麦芽から煮詰めて琥珀色に・・・
もち米から作っているのに商品名が粟飴なのは製法は他言無用ということから
粟飴として売り出したという話です
雪国の厳しい自然と豊かな大地から生まれた色
この色を見てるとべっこう飴を思い出し少し懐かしさを感じます
抹茶色(まっちゃいろ)

抹茶の柔らかな黄緑色
京都宇治市
山々が新緑で覆われる頃、宇治の茶畑は一斉にわらなどで覆われる
その下にあるのは若芽の萌える茶の木で覆下(おおいした)と呼ばれる
宇治独特の栽培方法で日光や遅霜から茶葉を守るのです
お茶が定着したのは鎌倉時代。京都右京区の高山寺の住職:明恵上人が
もらった茶の種をもとに栽培を始め日本最古の茶園が今も残されている
抹茶の淡い緑色は覆下によって生み出される
日光を遮ることによりカテキンになるのを最小限に抑えもともとあるウワミドステリアンが
多く残る淡いお茶が出来る
鳶色(とびいろ)

東海地方で作られる豆味噌の濃い赤化色
味噌の色は千差万別で地方によって作り方が異なり色も違う
大まかに分類すると
・関西は白系の味噌(西京味噌)
・関東や中国、九州に多い黄色系の味噌(信州味噌)
・東北、北海道に多い赤系の味噌(仙台味噌)
・東海地方で作られる豆味噌の濃い赤化色(八丁味噌:大豆100%)
愛知県岡崎市(八丁味噌)
色が付くのを嫌う米味噌は煮るという方法、色が付いても問題ない豆味噌は蒸すという方法が
とられ釜から出された大豆は赤茶色です
これは大豆に含まれるたんぱく質が分解してできるアミノ酸が褐色に変化するためで
一年ごとにその色を深め3年間熟成させることにより鳶色となる
八丁味噌と砂糖で作る田楽や味噌おでん
和菓子の色(わがしのいろ)





花鳥風月を形にした生菓子は彩りの和菓子
昔から雅の色として親しまれてきました
(主な色は5色)
赤:ベニバナの紅色
黄:クチナシの梔子色
緑:抹茶の抹茶色
黒:小豆餡
白:白餡
石川県金沢市
尾張町:森八(和菓子の老舗)
300年以上作られてきた落雁「長生殿」は素材の砂糖(和三盆)色の白と本紅を使った赤の二種類
摘み取ったベニバナの花びらを水で揉むと水溶性の黄い色素が流れ出し花びらは赤くなる
乾燥したクチナシの実を水につけると黄色の色素がしみ出すが和菓子で使用するには赤みを帯びるまで煮込む
(和菓子の形と色)
御来光:紅色に染まる岩
千代の鶴:真っ白な雪の中で羽を休めるたんちょう鶴
水温む:水の色は温かいクチナシの色と白餡の渦巻き
初音:抹茶色を使ったうぐいすの形
春爛漫:桜形で淡い紅色
若葉:爽やかな緑の葉形
青蔦:クチナシ色と抹茶色でクチナシ色が夏の日差しを表現
栗の実:小豆餡の栗の実形
紅葉:紅葉の華やかな彩り。紅とクチナシの紅葉形
四季折々の季節感を盛り込む和菓子には日本人が持って生まれた色への感性が映し出されている
香色(こういろ)

胡麻豆腐の色
精進料理には欠かせないものです
(胡麻豆腐)
白胡麻、葛粉、だし汁、砂糖
胡麻のいり加減で胡麻豆腐の色を左右します
膳は心の色
食を味覚だけじゃなく視覚としても・・・楽しみたい